我が家の玄関には庭木として植えた記憶のない、柑橘系の小さな木がある。
ある日芽吹いたのを、毎日せっせと水やりをして、母が少しずつ大きくした。
ふと気づくと、柑橘系の木を置いた玄関の御影石の上に、黒い小さな点々。
これは毛虫に違いない、木がぼうずになる前にと、一応母に報告すると、
「そうやねん、あげはの幼虫が住んでるねん」
どうやら、育てている、つもりらしい。
昔、姉と2人で蟷螂の卵をそっと庭に持ち帰り、蟻の行列ならぬ蟷螂の行列を見て悲鳴をあげた母、
毛虫は触るのも見るのもイヤな母は、なぜか昔からあげはの幼虫だけは大丈夫。
以来、毎日幼虫の様子を見て、「ほら、大きくなったやろ?」とか「柄がはっきりしてない?」と報告されていたが、
ある日幼虫が姿を消した。 どこでさなぎになったんだろうと心配していたら、
羽化したてと思われるぴかぴかの羽根のあげはが玄関先にとんできたので、報告したら、
「蝶になったんやね、よかった」
って、「ホンマにあの幼虫なん?」というヤボなつっこみは、「育てたい」母の気持ちにこたえてくれたあげはに免じて、やめにしました。
久しぶりに見た羽化したばかりの蝶の羽根は、本当に美しいものでした。
あ、私は蝶は苦手だけどね。
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