チョ・ソンジンのこれから

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木・金と、東京でぱたぱた仕事をして、いろいろな人々と楽しくお会いして、今日は帰阪の日。

直接、家に帰らず、シンフォニーホールに寄り道して、チョ・ソンジンのピアノリサイタルへ。

 

チョ・ソンジンくんは、なんと、まだ17才の高校生なのである。

とっても色がしろくて、歩く姿はすっとしている。

やさしくて、きれいなオーラがすでに彼のまわりにはある。

 

シンフォニーホールでピアノを聞くのは、2Fから、ピアニストの背中ごしがいい。

ピアニストの背中を見ながら、

肩胛骨とそのまわりの筋肉の動き方と音の印象との関連をシミュレーションして聞くと、

いろんな発見があるから。

 

チョ・ソンジンくん、ピアノを弾いている後ろ姿は、「たこ」みたい。

誤解のないように書き留めておくが、これは、ほめ言葉、なのだ。

彼のピアノは柔軟で強靱。ロケット発射みたいに鋭く移動したかと思うと、

どこが動きの切れ目かわかんないように、ふわふわ浮いている。

低音の響きは深くて強烈。テクニックは秀逸。

 

先月、シンフォニーホールで聞いたサラブレットが弾くように見えたユリアンナ・アブデーエワとは全く異なる印象。

「たこ」と「サラブレット」なんて、ひどい対比に思えるが、私は、「たこ」弾きのチョ・ソンジン、すばらしいと思う。

殊に前半の演奏、ショパンのバラード第四番ヘ短調の演奏後、ブラボー、と、立ち上がる人が10人程度。

この若さの演奏家に対する聴衆の評価としてはシンフォニーホールであまり見ない現象。

 

ところが、である。

休憩をはさんで演奏のあったリストの「愛の夢」はなんだかさらっと終わってしまい、

その次の演奏は、リストの「ピアノ・ソナタ ロ短調」であったが、

曲の解釈と構成がいまいちだった。

これは私がすごく好きな曲だけに、ちょっと残念だった。

 

ところが、ところが、である。

チョ・ソンジン、アンコール曲.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンコール曲はどれもすばらしく、特に、スケルツオ第二番は秀逸だった。

弾き方を見ていても、リラックス感があって、音にのびがあった。

 

ああ、そうなのね!

リストの「ピアノ・ソナタ ロ短調」、きっとすごくプレッシャーだったんだ。

ショパンはそもそも各曲の主題が明確だし、リストのラ・カンパネラも同様にわかりやすい。

彼ぐらいの技巧があれば、余裕でハイレベルで弾きこなせるはずだし、実際そうであった。

 

対して、

リストのピアノ・ソナタロ単調は、要求される技巧も高度ならば、曲自体がそもそも複雑な内容、30分ほどかかる長い曲。

であるからして、 どう構成していくか重層的な世界観作りが必要とされる。

高い技巧と、単純ストーリーのドラマ化だけではすまされない。

これが難曲たる所以だろう。

 

でも、17才でこの曲が完成している必要はないし。

彼の成長の証として、いつかまた、リストの「ピアノ・ソナタロ短調」を聞きたい。

また行くからね! 期待してます!

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