粒状の音

| コメント(0)

梯剛之氏のコンサートに行った。

ピアノのリサイタルは久しぶり。

ピアノ、好きな楽器なのだが、同時に大嫌い。

小指が他の指に比べて極端に短く、よって指に力を入れると全体としてバランスがとれず、

鍵盤の芯をねらってまっすぐたたけないという、自分の手の構造的な問題故に、

どうしても濁った音の並びになってしまう私のピアノ演奏。

習っていたときは本当にそれがいやで、高校に入る頃に練習も嫌いになり、やめてしまった。

 

音の粒というものがあるとすれば、その粒には芯があるのに、らしきところには芯が見えず、

しかし、中心性を失わない完全球体の音の粒を出すのが梯さんのピアノの音。

彼の場合、極言すればリズムやメロディは、音の粒を際だたせるために手段に過ぎず、音をつぶしすぎるやり方は

彼のやり方ではない。

どこまでも私は私、と言い切った音の一つ一つが耳を追いかけてくる。

それをうっとおしいと思うか、純粋さに感動するか紙一重なのだけれど。

ライブで聞く音の粒を額に受け取れるように、会場で目をつぶって仰向け。

演奏が始まると、

天井のもっと向こうにある天から、音のつぶつぶが、

なぜかしずく状にならずに、

完全球体のまま額の上に落ちてきて、

額の上でぱんとはねてはじけ、また小さい球体に分かれて

ころころ転がっていった。

コメントする