やること満載で、疲労困憊、夕食をきちんと作る暇もない。
そんなとき、どうしようもなく食べたいものは、
まったく皮肉ながら、自分で作った最もシンプルな食べ物だったりする。
たとえば、キュウリを蛇腹に細く切って、岩塩をかけてしぼったもの、
たとえば、大根の銀杏切りだけが入っている味噌汁、
たとえば、おこげ面積が1/3のご飯のうえに梅干しをのっけた茶漬け。
こういうのは街中探してもみつからない。
わがままが言えるお店で、頼んで作ってもらってもちょっと違う。
自分の舌と手の相互作用、唯一無二のくみあわせによる再現可能な味が
私にとって究極のいつもの味。
たとえば、人生を終える朝を迎える日、
いつもの味の朝食を自ら整えることができたら、
たくさんの人にお世話になりながら、人任せではない人生に幕引きができるだろうにと、
ささやかに夢見る。
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