退院してすぐに、伝耕分室黄色い家に寄ってみると、
入院前にはそれとは気づかなかった
一心寺山門の南側にある藤の花が盛りになっていた。
梅雨の季節にふさわしい薄青紫の花が水気を孕んだ空気にぴったりである。
人気のクリニック、それも2回も入院したので、退院者を見送る機会も多かったが、
周囲には田舎に帰ると言って内緒で入院してきた人、
たった一人で入院し、帰っていく人、
退院後は家族と離れ、一人暮らしをして治療に専念する人、
みな、退院の日は何もなかったかのように、化粧して、晴れやかな笑顔を見せてくれるのだけれど、
胸中いろいろなのだろう。
私は、早期だったおかげで、術後療法も最もシンプルな内容が想定されており、
家族がいて、仕事があって、ようするにジャグリングな要素が待っているので、
深く考えこむ暇もないことが、十分幸せである。
ガンと言えば、みんな切ればおしまい、の時代は終わり、再発・転移の予防にも重点が置かれている。
分子生物学の進歩とともに、細胞からのアプローチによる副作用が少ない治療なども適用され始めた。
その治療は一様に施されるものではなく、検査結果により適用の可否が決まり、
同じような手術であっても、術後療法の違いにより受ける苦難の程度は各人さまざまとなる。
術後に新たなチャレンジが待っている人が、退院時に見せてくれた晴れやかな笑顔。
その奥に、深く押しとどめられているかもしれない中身にふと思いを馳せる。
というわけで、
みなさま、ご心配をおかけしました。本日、経過良好にて退院いたしました。
そのまま突っ走るとおしかりを受けるので、ぼちぼち、術前7ガケぐらいのペースで始めます。
病人役を10日間引き受け、少しは引き出しが増え、洞察が深くなった(ことにしておく)西道とともに、
今後とも、「伝耕」、どうぞよろしくお願いいたします。
あと、重要なこと。
20代後半、30代の女性も、私は関係ない、と思わずに、マンモグラフィーの検査を。
子育てや介護、仕事等々自分のことなど顧みる間もないと思いがちな40代、50代は言うに及ばず、
まだまだ長生き60代、70代の女性も、乳ガンの検査を受けることは、自分のためだけでなく、家族のためでもあります。
くれぐれも、どうぞよろしくお願いします。
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