紅茶のアジト

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堂島と淀屋橋で打ち合わせがあり、合間に1時間空いたので、堂島のFONTANAビルにあるTEA HOUSE MUSICAへ。四つ橋沿いのビルから移転してからはじめてなので数年ぶり。かれこれ40年ほど前、最初にあったお店に母と来たことを思い出す。この頃から日本人が小金を持つようになり、舶来モノの物色をはじめた。ほの暗くて狭い店内に、色々な紅茶の缶や見たこともないラベルがひしめき、その当時は珍しかった種類の紅茶の香りが漂っていた。まるで「紅茶好きの妖しい船長室」に迷い込んだかのよう。「舶来モノを飲む」ことが素敵だった頃の「紅茶の巣窟」。さて、2010年の今、テナント料の高そうなビルに広いスペースを確保し、さまざまな紅茶の資料で一杯なこの店は、ありていに表現すると「紅茶の博物館」。ま、でもこのあまりにも雑然とした店内には、紅茶に魅せられ世間に帰れなくなった誰かが蟄居しているに違いない。やっぱり「巣窟」が根っこにあるのね。様々な紅茶が簡単に手に入るようになって、舶来モノの妖しいイメージは今や単なるノスタルジー。きっぱり大衆化路線をとったコーヒーは世の中でずいぶんと幅をきかせている。堂島MUSICAは、本社機能が東京に吸い取られ空洞化したこの街に巣くい、「紅茶の民集まれ!」と呼びかけながら世の中にうって出るチャンスを伺っているのだ。時を経て、「紅茶の巣窟」は、「紅茶の巨大アジト」となっていた。

久しぶりに飲んだシナモンティーに、のど奥の記憶が反応する。もう一杯頼もうかと思ったが時間切れ。諦めて支払いに行くとレジ奥右のフォーカルポイントに目が奪われる。そこに展示されていたのは「リプトンのニセモノ」と銘打たれたパッケージのいくつか。「のど奥で覚えた味を忘れるな」と言われているようだった。やっぱりここは同士を匿う「紅茶のアジト」に違いない。 musica.jpg

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