お茶の水駅からの風景は、明治大学の新学舎が建って一変していた。
高校生向けの受験情報誌を編集していた20年前、
その頃の明大といえば、はがされたビラのあとがあちこちに残る黒くくすんだ学舎、いつでもバリケードが築かれそうな風情だったが、
今やオフィスビルみたいな新学舎がそびえる、整然とした外観になっていた。
そんな明大を過ぎて、お茶の水幼稚園の脇の坂をあがったところにある山の上ホテルの佇まいは、ここだけ昔と変わらず。
数え切れないほど東京出張をしてきたが、今回このホテルに泊まるのははじめて。不思議な気がする。
ホテルの予約でお部屋のタイプをおまかせにしておいたら、
和室にベットのある部屋になった。
新しいものは何もないが、
掃除が行き届いていて、
よく手入れされた家に
招かれたような気分にさせてくれた。
ベッドサイドにあるランプは、
まんまるの不思議な代物だったが、
それもきれいに磨き込まれていて、
撮影者も写りこんでしまう。
三島由紀夫が最後の晩餐をしたのもこのホテルだったらしい。
さまざまな人々が行き交った歴史を背負う山の上ホテルの従業員は、
ホテルのそこここをていねいに磨きつつ柔らかな笑顔を向けてくれ、
さりげない心配りでくつろがせてくれた。
伝耕の1歳のお誕生日パーティのあと、
お祝いの紅白饅頭を眺めながら、
小さな一歩を踏み出した会社のことを、
小さいが、歴史をたくわえたホテルの中でしばし考えた。
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