水曜テーマ:③-3 たぶん誰も書かなかった市場調査

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木の伝版を作ってしまったぐらいですから、私は木が大好きです。

大きな木だな、と思って見上げると、無数の葉や枝の向こうに空が見えます。

空気が冷たくなってきて、空も澄んできましたね。R0010386.JPGきれいです。 

さて、地面の下では、枝のかわりに根が、無数の葉のかわりに、無数の細かい根があるのでしょう。

根の間には当たり前ですが、土。

木の支えであり、栄養である土。

地面から上の部分の木は、こうやって写真にとってもらえるけれど、

地面の下にある木は写真には撮れません。

でも、本当はこの木、地面の下の写真も撮りたいのです。

 

第三話:その3 質的調査で話を支える、育む

質的調査、特にフォーカスグループで、どうすれば参加者を盛り上げてうまく進行できるのか、どうすればたくさん話してもらえるのか、重要な問題ですね。

①座のあたため(ウオーミングアップ)の重要性

質的調査、なかでもフォーカスグループは、まあ茶飲み話を人工的に作るところです。茶飲み話をするメンバーの間なら、お互いのことがわかっているので必要ないですが、フォーカスグループのような人工的茶飲み話の場合は、初対面の人同士で行われますので、スムーズに茶飲み話ができるように、最初は座のあたためから始まります。10分ぐらい。よく行われるのは、簡単に自己紹介、ってことで、名前、居住地域や家族構成、年齢、職業を話してもらったりします。まあ、どこそこの某ということがわかればいい、とばかりずいぶん邪険に扱われていることが多いです。クライアントにとっては、こんなところ、さっと済ませて本題に入ろう、という部分でしょうか。

しかし、参加者にとっては、自分が最初に発話をして、その反応を得て、その場に馴染むかどうかが受け入れられるかどうかが決まるすごく大切な局面です。個人的な意見ですが、本当は実際のインタビュー場面で居住地域や家族構成、年齢、職業などを網羅して聞かない方がいい。もともとリクルートをしているときに押さえてある項目ですから、こちらで了解しておけばいいのです。わざわざ、インタビュー時点でこの内容を些末に言わせることは、自分の社会的なポジションを初対面の人の前で再確認し、相手にそれを了解させることになります。「私って、そんなに高くない地価や賃貸料の居住地域に住んでいて、きちんと結婚して、子供もちゃんといる専業主婦。あ、でも年齢よりもちょっと若く見えるでしょ。」とさりげなくかつ強烈にアピールすることもできるわけで、これは自己紹介どころか、見えないバトルを誘発していることにもなるからです。そこに自己評価が低い人や、自分の社会的ポジションについて劣等感がある人が入っていると、すでに最初から失敗です。

思った、考えたことを素直な反応が重要な質的調査では、「面目ないこと」も話してもらわないと意味がないのです。せっかく、気持ちをオープンにして、温泉につかっているみたいにハダカのつきあいをしようというのに、わざわざ心に鎧を着せるようなウオーミングアップをさせるのはどうでしょうか。

ワークショップをするときもそうですが、最初に人が出会うときは最もテンションが上がりますよね。そこで、何をしてもらうか、何をするか、その内容があとあとまでひきずります。この初対面のグループがどこらへんに着地して話しはじめる(根をはりはじめる)か、話の支え、を作るのがウオーミングアップ。

たかが、ウオーミングアップ、されどウオーミングアップだと思っています。

②作業の効用

質的調査の中では、単に自分で話をしたり、人の話を聞いたりするだけでなく、ちょっとした作業を入れることもあります。簡単な文章を書いてもらったり、コラージュを作ってもらったり、商品を実際に使ってもらったり。

人が日常的に行っていることは、それをどんなに毎日欠かさず行っていても、行動が自動化されていることが多いので、それを人前で発話したことがない内容も多いものです。発話できない=内容がない、のではなく、「内容を自分で客観的にモニターしたことがない」からお話ししにくい、のではないでしょうか。どんなレベルのことでも、言葉にするときは、「今、それを行っている、考えている、ということを認識してから、言葉にかえる」というプロセスが踏まれていると思います。

その認識が不十分なままで無理矢理話させると、なんだか自分の日常と違うことを口走ってしまうことも多くなります。何とか口走ってその場をしのぐ人と、全く黙ってしまう人の二通りに別れますが、いずれにせよそういう状態ではインタビューが成功しているとは言えません。

単に話をしてもらうだけでなく、ふだんの行動を振り返ったり、いつも思っていることや考えていることに近いイメージを探ったりするような作業の時間を取ることが反応の精度を上げることになりますし、作業の内容によっては、ダレがちなインタビューにメリハリをつけることになります。楽しんで取り組んでいただけるようなワークや考えを刺激する材料の内容を考えることも、プランナーの腕の見せ所ですね。なんとかして人から話をひきだそう、話させようという「搾取の思想」では失敗します。思いや考えを育む栄養分となる時間や材料、工夫が必要だと思います。「舞台の小道具」に手を抜いてはいけません。

まあ、今週はこんなところで。

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