伝耕のロゴを作ってくれたデザイナーさんはグラフィック出身ではなくて、プロダクトデザイン出身。
彼の面白い作品が商品化されている。それが、Cupuc。
何気ない白いコップをひっくり返すと、飲料缶の顔が表れる
(下の写真はあんまり鮮明じゃないので、上の商品名をクリックして見てね)。
何気ない白いコップから、何気ない飲料缶への瞬時の移動は、
まさに目からウロコ。
どちらも日常生活にある極めて卑近なものなのに。
そんな「何でもない同士」をくっつけて、
いきなり生まれる大きな違和感を発見する視点が面白い。
その違和感を発見するデザイナーの感性に「はっ」として、
そこに「はっ」としている自分にまた驚く。
- 何気ないものを見過ごさないことに、発見があるんだなあ。
第三話:その2 質的調査あれこれ
インターネットで、ささっと量的調査データが取れるようになりましたね。集計や分析もほぼ自動化されているし、意見や評価を聞くのはお安く簡単になりました。それを思うと、会場でのフォーカスグループや、ワンオンワン、お宅や実際の場所を訪問して観察したり面接したりする質的調査。結構な時間とお金の投資ですよね。でも今、それが無くなるどころが、注目されているのはどうしてでしょう。
①ばらばらのデータではアクションできないからです
たとえば、「この商品を買ったことのない人にはどういうことを訴えればいいのか?」。
それについて、何か調査からサポートするなら、量的データならば、買ったことのある人とない人の間でさまざまな属性評価を聞き、両者の差を見ながらそれを購入意向との相関を検討しながらあたりをつけていくといったことを行うのでしょう。いや、でもその属性ってどんなふうに決めるの?その属性ってどう表現すると、聞かれた人にわかってもらえるの?属性間の相関は量的にわかるとして、もしかしたら、何かの属性だけを語れば、スムーズにいろんな属性がつながったりする便利な方法はないの?(「生薬」と言っておけば、「安全」と「自然」と「身体へのやさしさ」という3つの属性が一緒にくっついてくるといったような→この場合、「生薬」が便利な方法となるマジックワード)。
何かをコミュニケーションしなくてはならない、製品のどこかを変えなくてはならない、ということの「何か」と「どこか」の数をできるだけ少なくして、それを手間無く見つけなければならない、ということがビジネスの要諦ならば、行わなくてはならないのは、「購入に影響する要素がもれなくだぶりなく、要素の表現が適切な状態で優先順位がつけられており、かつ要素間のストーリーがお客様に理解可能な形で組み立て、そしてストーリーの強さを評価し検証すること」が必要です。量的調査で得られるばらばらのデータだけではこれを作るのは難しいでしょうね。あとはすべて、担当者の力量です。ターゲットとなるお客さんの感性の半歩先を行く、すばらしいストーリーを組み立てられる担当者がいらっしゃれば、もちろん、その方におまかせしておきましょう。でも、その感性にずれがないかどうかチェックしました?
②では、質的調査と量的調査のかしこい使い分けは?
先ほどの項目でたどれば、質的調査の大切な出番は3カ所。
1)「もれなく」=要素を網羅することは自由記述のレベルが期待できない量的調査ではほとんどムリ。丁寧に行う質的調査向き。
2)「だぶりなく」=得られた要素のさまざまな内容や表現について相関を見ればいいので、量的調査で可能。
3)「要素の表現が適切な状態」=2)の結果を前提として、量的調査では評価や順番はつけられますが、改善案は得られません。お客さんの生の声からヒントや改善案が生まれるので、質的調査向き。
4)「優先順位」=要素の表現が適切に表現されている前提で、購入意向との関連をみればいいので量的調査で可能。
5)「要素間のストーリー組み立て」=3)および4)を経ているという前提であっても、量的調査で組み立ては不向き。質的調査でもそのものの解はムリ。ただし、ヒントは得られる。
6)「ストーリーの評価・検証」=量的調査向き。
「もれていること」はプロジェクトの初期段階で押さえておかなくては復活不可能です。「あ、あの要素がないと、このターゲットは動かなかった」ということについて、商品を作ってしまったり、宣伝を作ってしまった後で分かっても意味がありません。このプロジェクトの初期段階でうまく質的調査を使えていない、企業の組織内部で共有されていないこと、非常に多いです。
「お客さんにちょっと話を聞いてみるだけ」と軽く考えられていることが多いせいでしょうか。しかし、最初の時点での「もれなく」に対する感度の高低とパッションは会社の開発力・マーケティング力と相関するな、というのが私の実感です。Cupucみたいに、何気ないカップの底にタブがついているかもしれないこと気づくことが重要なんだと思うのです。しかし、自分がその業界にどっぷりつかっていて、これがわからなくなっている会社さんも多いですね。「えっ、白いカップの生産工程でつく模様じゃないの?何か問題でも?」という感じです。
お客さんにしてみれば、ある商品の名前は、変なイメージの別の商品を想起させるので「えーっ」っていう感じなんだけれど、開発する当事者にとっては、外国で同名の製品が売られていたり、社内用語としてよく使われており、あまりにも当たり前の言葉なのでお客さんがどのようなものと紐づけて連想しているかについて全く気づかない、とか(あっ、ごめんなさいね、わかりにくいですよね。でも例は出せないんです)。
3)「要素の表現」、5)「要素間のストーリーの組み立て」はコンセプトを作るということとほぼ同義ですね。伝える→伝わるが成り立つかどうかに関わる死活問題です。特に、5)「要素間のストーリーの組み立て」についてはその経験のある方や専門職の方に1)から4)までの内容をブリーフした上で、案を作って頂き、そのストーリーについての反応を質的調査で、感情面や機能面、およびそのブリッジを丁寧に掘り下げていくことが必要でしょう。このストーリーの反応も厳しいですよね。機能面一辺倒で、技術的にいいところを並べ立てればコンセプトができる、と思っていた幸せな時代は終わりました。技術スペックが高いことなんて、邪魔で高くつくだけ、と思っている人も多いですから。
6)は量的調査として、すっきりどうぞ。ただし、その判断基準としてデータベースは必要でしょう。
あーまた、長くなってしまいました。このあたりから、来週にします。
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