ごくごく近所で由緒正しきお香が手に入る環境はやはり寺町の特権。
お香の製造販売をてがける香林堂の白檀香林は慎み深くさわやか。まだ冷たくなっていない秋の風を家の中にいれながら漂わせるのが似合う。
お茶よりも、常温の軟水をちびちびなめながら(お酒みたい!)お香を楽しむと、身体のなかにいい香りが入っていくよう(あくまでも、わたし個人のやりかた)。
筒一把840円の贅沢。
志野流香道を指導されて55年、香林堂の黒田さんは地元の生き字引のよう。昭和30年代頃はお店の前が市電の停留所で、新世界の市場やなんばまで市電で行けたそうな。
新世界につながる道は逢坂という名のとおり、けっこうな勾配のある坂道。お店は坂道を上がりきったところにあるので、市電がなくなってからは帰りの坂道がきつくて新世界の市場から足が遠のいてしまったとのこと。
いい市場なのにね、と寂しそうだが、もう足腰が辛い。
まあ、でも八十路を超えても嗅覚はまったく衰えずお香の種類なら百発百中。
お香と一体化したような素敵な妖気の漂うおばあちゃん。
こういう年齢のこういう女性、魅力あるなあ。
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