第二話 その2:購入意向あれこれ 「調査では買わない理由をしつこく聞くな」・つづき
買わない理由を聞く調査だけでは、売れる方法を知ることはムリ。
で、でどうする?って話です。方法については、愚直な話になる、というところで先週は終わりました
買わない理由を調査して、わかるような理由は、多くの場合、調査しなくてもわかります。
いや、調査してみないとわからないのではないか、との向きもありますね。
実際に聞いてみたら、
「デザインが目立たないから店頭でわからなかった、使って良くなかった等々」の理由が出てきて、「なるほど」となった。
調査でわかってよかったね。
とんでもない。こんな回答で、あ、そうかと納得できたら大問題。
というのは、こんなことすべて、商品を出す前に確認しておかないとダメなことなので、商品を出す検証の時点で問題があった、ということになります。
もはや、一つの商品やサービスの問題ではなく、それを上市するまでのプロセスが問題になってきます。
もう少し言うと、そういう上市プロセスとプランを良しとした、会社の判断が問われる。
ならば、その判断についてが根源なのね。それ、どうする?ということは、もう、調査で解決できる次元ではありませんよね。
上市してしまってから、そういう状態になる例は残念ながら少なくない、のかもしれませんが。
昨今、いろいろな会社が異業種に参入したりしています。
現業が盤石で成功を収めていたとすると、その業界での暗黙知の質と量を意識しなくなるんでしょうかね。
で、そのノリで、暗黙知ゼロの他業界に新規参入して急いで商品を出すと、上市までのプロセスがおかしくて売れないものを売ろうとしてしまった、ということも起こったりするんでしょう。
なんで買ってもらえないのか、なんで売れないのかを知ることは、売れる方法を知ることですが、それは商品開発の基本のキに戻ることですよね。
と、なると、当たり前の話ですが、一つの方法としては、よく売れている他の代替可能な商品やサービスがどのような魅力があるのか、それを知って、それを凌ぐプランを愚直に追求するということでしょう。
今日は、売れている商品の整理から導く学び(タイトルに書いてないけど)、がサブテーマになるでしょうか。
下の写真で、真ん中ちょっと右よりにある岩のてっぺんに登ることが目的だとします。
で、最初のルートは陸路を考えて、岩の右につながっている崖の上から降りることにした。
でも、右横の崖にはくぼみがあって、
うまくバランスを取ることができず止まったままだった。
ならば、そのくぼみを安全にやりすごす方法を考えることも解決の要件の一つ。
でも、この岩のてっぺんに登るにはいろんなルートがあって、陸路からの別の方法や、
海から行く方法もたくさんあります。
買わない方法を聞くということによって得られる情報は、この例で言うと「右横の崖にくぼみがあって、うまくバランスを取ることができないという状況」だけです。
なので、もう一度崖を登って、バランスが取れる状況についての改善を行うというアクションをしてから降りることはできる、と。
しかし、それはこのルートで岩のてっぺんに行くための必要条件にはなりますが、十分条件とは限りません。
つまり、これが改善されたからと言って、売れるとは限らないわけです。
最初の例で言えば、目立つデザインにしたからと言って突然売れるようになるとは限らない。
ただし、このルートを死守したいのなら、この試行錯誤を続けるしかないですね。
作ってしまった商品にこだわる(=ルートを死守する)あまり、成否がわからない試行錯誤を続けることになる。
ま、しかし、それも人間の業というものです。会社は人間たちでできているわけですから。
到達できない(買わない)理由を聞くだけでは、成功できる別の陸路・海路のルートについては何ら情報はもたらされません。
なので、他の成功ルート=よく売れている他の代替可能な商品の魅力がどんなものか、についても知らなくてはなりません。
ただし、それをそのまままねしたところで、すでに成功者は居るわけですから、自分が成功するわけではない、と。
このアクションからの学びは、
①他の成功ルートを追従したとしても、さらによりよい方法で(=お客様にとって価値のある方法=効率的とか楽しくとか、で)で追従しつつ、最後には引き離すやり方を模索する。
②他の成功ルートを知ることによって、別のルートがあるという視野の広がりを得た。この視野の広がりを起点に、他にどういう成功ルートがあるかを幅広い視点で模索する。
→①ならば、他の商品・ザービスの問題点や改善点を調べ、それを解決する。
→②ならば、他にどういう成功ルートがあるか、顧客の顕在・潜在ニーズと、チャネル、商品・サービスの便益の種類や組み合わせ、イメージ等々について、可能性を探り、商品の有り様を再定義する。
いずれにせよ、他のルートで視野を広げることによって、手を加えられた商品・サービスが全体として、その他の商品・サービスに比べ、顧客にとっての魅力が明確に上昇したことが検証されると、買わない理由を克服して、
売れる商品を作ったという解決になるかもしれません。
①も②も、コストも時間もかかることですよね。さらに、今までのやり方のまずさについて思い知ることにもなります。そんなこと、とっても怖いのでできない。怖くても、何らかの方法を選択して取るべきリスクなのですが、そのリスクを取るときに感じる怖さ自体が主観的なリスクになってしまう。
なので、必要十分条件が明確にならなくても、元々の崖ルートで試行錯誤を続けるということが起こります。
結果、①と②をすぐに行うアクションよりも時間がかかり、使ったコストを回収できず、正しいアクションを速やかに取ったときによりも明らかに上回る赤字を垂れ流すことにつながったりします。
「買わない理由を聞け!それを改善したら売れるはずだから、早くなんとかして売れ!」という会社での指令は、
上の太字で書いた多大なストレスが、そのまま会社で言葉になったものです。
おそらく、これで、いい結果が出る確率は低いでしょう。
で、堂々巡りですが、
「買わない理由を聞く」ことにやたらとこだわるということは、
それを指令する人・会社のマーケティング視点の欠如と戦略についてのハラ決めができないことを図らずも露呈してしまっているのかもしれませんね。
あと、一回ぐらい購入意向について書かせていただこうかと思っています。
それではまた来週水曜に。
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