病床見舞いにかえて

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病は治るもの也

何かをしなくとも自ら治るもの也

治らざるは 自分が病んでゐるから也

自分が病まねば病は自ら去る也

それが病むといふこと也

病を恐るる人あり 病を避けんとしてゐるから也

病に怯える人あり 病を防がんとしてゐるから也

病に苦しんでゐる人あり 治さんと気張りすぎてゐる為也

ただ病を病むことと知る人 病を活かし これによりて新鮮な生を湧きたたす也

居眠りした体に対しては目覚ましのはたらきをもつ也

古びた体には 新陳代謝を促進する更新作用あり

錆びついた体には それを磨いて裡の力を喚び起こす也

病むことに受け身の人のみ 病に害さる

受け身で害されること病に限らず 貧でも 富でも 失敗でも 成功でも 同じこと也

病を治すといふことなければ 病は生の安全弁也 自然の健康恢復法也

このことを悟らず病んでをることを 病に病むといふ也

病む限り病は続く也

思へば人間は随分と長く 病に病んでゐたもの也

可笑しなこと也

(「苦楽」 偶感集より  野口 晴哉)

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