生命の基本仕様は女性である、というのが最近の通説であるらしい。
受精後6週間までは染色体がXXだろうがXYだろうが、すべて女の形状で成長する。
7週目を過ぎた頃、ある特別なタンパクが作られる。
このタンパクは、染色体がXYの場合にのみ、Y染色体の上にあるSRY遺伝子と結合し、SRY遺伝子は司令塔として活動可能な状態となる。
この時すでに生命の基本仕様である女性に必要な卵管や子宮、膣などのもととなるミュラー管ができており、次なる成長を待っている。
ところが司令塔SRY遺伝子が活動すると、ミュラー管を抑制する因子が放出され、せっかくできたミュラー管は徐々に小さくなり、ついには消失してしまう。
さて、
「○○とは、」で始まる定義によって、世界観が左右されることがある。
「染色体XYの彼ら(男性)とは、最初はあった子宮(のもと)を消失してしまった存在である」 と、定義してみる。
この定義のままにみえる色眼鏡をかけて世界を眺めるとどんな風景が見えるだろうか。
なくしてしまった子宮構造を内包するランドマークを現実空間に仕立てようと、もしくは仮想空間のシステムに再構築しようする「彼ら」の企み。
その企みを眺めるのは「子宮を内在化している」彼女たち。彼女たちの内在をわざわざ外在化しようとする彼らの企てに込められた意味をはかりかねる。
しかし、少なくとも敬意は表してみる。
「染色体XYの彼ら」が「Y」をもつのは、その片割れとしての「X」を運ぶためである。
メッセンジャーとして優秀な「Y」の存在はつまり、「Y」を魅了した偉大な「究極の母・X」の存在を暗示している。
「Y」は彼らの「究極の母・X」を未来につなげるために存在した。
彼女たちの敬意はおそらく、存在が暗示された「究極の母・X」に向けられている。
(参考文献:できそこないの男たち 福岡伸一)
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