雨の日は、独特のにおいが鼻にぷん、とくる。その地独特のにおいと混ざり合って。
人工物のうえに人工物を塗り固めたような東京のど真ん中でも雨の日は、単なる人工物のにおいとは違うにおいがする。
ふと、
「青蛙おのれもペンキ塗りたてか」 芥川龍之介
という句を思い出した。
「雨と土と草がまざりあったにおい」、そんなにおいが濃厚な場所で周囲に目をこらすと、昔はよく見つかった青蛙。
「ペンキ塗り立て」の看板にうっかり近寄ってしまい、その、つん、と鼻をつくにおいに思わず顔を背ける。
東京のまんなかで降った雨は、いろんなにおいがしたけれど、一瞬、「雨と土と草とペンキ塗り立て」のにおいを混ぜたよう、と思う瞬間があった。
青蛙とペンキのぬらぬらした緑色。
その組み合わせの妙は、もちろん作者の意図だが、
まざりあうにおいについては想定していただろうか。
そんなことを思った。
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